世界をあげる

そういえば。

「…利一さん、花ちゃんのお母さんは?」

「…それがなあ。」

梅さんは亡くなる前に碧さんを勘当したそうだ。

「え、じゃあ今日は、」

「…来んかなあ。」

自分の母親の葬式に来ないなんて、そんなにひどい別れ方でもしたのだろうか。勘当ということはそういうことか。

結局碧さんは葬式にも火葬場にも姿を現さなかった。

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