世界をあげる

利一さんは花ちゃんをぎゅっと抱き寄せた。

「…碧さん、帰ってくれんか。手続きが必要だったらこっちから行くから。もうこの家には来んといて。花にそのツラ見せんといて。」

こんなに怒っている利一さんは初めてだ。

「わかりました。花…バイバイ。」

碧さんは鞄を持って店から出て行った。

「花…」

「ママ…ママあ…ママあ!」

花ちゃんはしばらくの間声をあげて泣いた。

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