世界をあげる

「吉村さんが父親として泉にしてあげて来なかったこと、全部したつもりですが。」

「は、」

「泉を遊びに連れて行ったり、家で一緒に過ごしたり、話を聞いたり。そして何より、ありのままの泉を認めてあげた。」

「うちの教育方針とは違いますが。子どもをきちんと学校に通わせて、いい大学行かせて、いい会社に勤めるのが親としての役目で、それが何より子どもにとっての幸せです。」

「だったら泉に高校をやめさせた吉村さんは親としての役割を果たせてないやんか。」

「…。」

「それに、泉見おってわからん?勉強していい会社に入るだけが幸せやない。」

泉の父は利一の目を見た。

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