世界をあげる
翌日。
「泉。準備できたか。」
「…うん。」
父さんが迎えにきた。
「利一さん、泉がお世話になりました。」
「…おう。」
利一さんと目が合わない。
「利一さん、父さん、聞いてほしいことがあるんだ。」
「なんだ。」
利一さんはやっとこちらを見た。
「俺、高校卒業して大学行きたい。大学で勉強して、店を開きたい。」
「何の店?」
「なんでもいいんだ。飲食店でも雑貨屋でも。ここみたいに、どんな人でも受け入れてくれる、居心地のいい店を作りたい。」
父さんも利一さんも驚いている。