世界をあげる

2人は車で事故に遭い、即死だった。

澪はそのまま教頭先生に連れられて病院に向かったが、2人の遺体を見ても実感がわかず、放心状態だった。

お葬式の日。

澪はお父さん方のおばあちゃんと一緒にいた。

「澪ちゃん、つらいだろうけど、一緒にがんばりましょうね。」

おばあちゃんは泣いていた。

その傍ら、誰が澪を引き取るのか、親戚たちの会議が開かれていた。

「うちは無理よ。子ども3人もいるの。この子たち養うだけでいっぱいいっぱいよ。」

「うちだって。」

「うちの子は今年受験だからあまり環境かえてやりたくないなあ。」

誰一人として澪を引き取ろうとはしなかった。

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