世界をあげる

こうして澪は、2年ちょっとの間、様々な親戚のところをたらい回しにされた。

誰も傷つけないように振る舞ってきた澪自身がズタズタに傷ついていた。

上手く笑えなくなっていた。

「澪ちゃん、明日澪ちゃんはここから出ていって、神崎さんのところに行くの。そこで生活するのよ。」

「…神崎さん?」

聞いたことのない名前だった。

今までいろいろ回ってきた親戚はみんな両親の葬式に来てたから知ってたけど、神崎さんなんて聞いたことない。

車に揺られている間、ああ、自分は捨てられるんだなと悟った。

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