世界をあげる
「澪ー。学校どうやったー?」
「…普通です。」
「そうかー。良かった良かった。」
家に帰ると利一さんの穏やかな声が響く。
「今週末、どっか遊び行こうや。」
「ほんと!?遊園地行きたい!」
「ええよ。遊園地行こうか。」
利一さんはいつも週末になると、どこかに連れて行ってくれた。
澪は親戚の家にいるとき、いつも留守番をしていた。みんなが出かけても澪はひとり家に残された。だから週末に遊ぶという感覚が新鮮だった。