世界をあげる

俺は高校をやめて、引っ越した。

父親の知り合いという人のところに預けられた。

まあ、簡単に言えば捨てられたってこと。

その預けられた先の主人が利一さんだ。

利一さんは田舎で小さな古本屋を営んでいる。

年は40代半ば。

利一さんは何も聞かなかった。

ただただ笑って

「君が泉か。よお来たなあ。ここは田舎やけん、不便かもしれん。でも空気だけは綺麗よ。」

と足の爪を切りながら言ってきた。

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