世界をあげる
「いっくん、色えんぴつある?」
「色鉛筆なら…」
確か澪さんが持ってたはず…。
利一さんが思い出したように言った。
「あ、俺の部屋にあるよ。絵描くん?」
「うん!」
「持ってこーわい。」
利一さんは部屋に取りに行って、花ちゃんは精一杯手を動かして白紙を探していた。
「花ちゃん、背中見えてるよ。」
Tシャツがめくれている。
「あ、ほんとだ。」
花ちゃんが服を直すとき、一瞬だけ見えた。
白い肌に目立つ紫のアザ。
「…花ちゃん、そのアザどうしたの。」
「ころんだの。あ!紙あったあ!」
白紙を見つけた花ちゃんは部屋に走って行った。