世界をあげる
ゆったりとした時間が流れる。
俺は店の本をテキトーにとって読んだ。
2冊目に入ろうとしたとき、利一さんが帰ってきた。
「泉い。黒崎さんにこれもろたわ。花と一緒に食べや。」
利一さんの手にはチョコレート。
「どうしたんですか?」
「黒崎さん家の軽トラが溝にはまってな、抜くの手伝ってきたんよ。そしたらもろた。」
「お疲れさまです。」
利一さんはチョコをひとつ口にほおりこむと残りを渡してきた。
「店番ありがとうな。もう上がっていいよ。」
「はい。」
俺は本をしまって上に上がった。