世界をあげる

「…花のお母さんはシングルマザーでな、うまくいかんこととかあって、誰にも相談できずストレスがたまってたんやろうな。花がもっと小さいときから虐待があったらしい。
花のおばあちゃんが母親の虐待に気づいて花をしばらく預かることにしたけど、そのおばあちゃんの持病が悪化して入院することになって、花はうちに来たんよ。」

「あのアザって…」

「…泉も見たんか。虐待された跡。」

「っでも!花ちゃんお母さんのこと大好きって…」

「花はどれだけ傷つけられても母親のことが好きなんな。小さい子どもにとってお母さんの存在は大きい。」

「…。」

「花にアザのこと聞いても『転んだ』って言うだけやし、『笑ってたらママが褒めてくれる』って花が言ってたんよ。恐らく、母親が花に言い聞かせてたんやと思う。このアザのこと聞かれたら転んだって言え、他人に虐待がバレないように笑っていろって。」

ひどい。

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