世界をあげる
だけど人柄のよさはにじみ出ている。
優しい声と優しい笑顔。
「おー、太郎。さっきそこ整理したけんいいよー。」
「そうですか。」
「掃除はいいけん、太郎、泉に散歩でも連れてってもらいー。」
「え、」
「周りの景色見たらどこから来たかくらい思い出せるかもしれんやろー。」
利一さんは人差し指を立てる。
「…そうですね、行きますか太郎さん。」
「あ、うん。」
俺はエプロンを畳んで椅子に置いた。