世界をあげる
花ちゃんが俺の部屋で宿題をしてるから先に風呂に入ろうと着替えを取りに上がると、隣の部屋が開いていた。
そっと覗いてみると、雅樹さんは寝そべって天井を眺めている。
「雅樹さん?」
「…泉くん。」
雅樹さんは起き上がり、手招きをした。
「…いろいろ整理つきましたか?」
「うん。ありがとうね、泉くん。」
「いや、俺は何も…」
「ううん。君に好きって言ってもらえて嬉しかった。俺自身を見てくれて嬉しかった。救われた。」
「…でも、俺は雅樹さんのこと何も知らなかったんですよ。雅樹さんの全てを知った上で好きになりたかった。」
「俺の家のこと知って、俺のこと嫌いになった?」
「そんなわけないでしょ!」
「だったら同じことだよ。」
雅樹さんは嬉しそうに笑った。