世界をあげる
「泉くん、俺も好きだよ。ありがとう。」
雅樹さんの「好き」は俺の「好き」とは違う。
でも、悲しい気持ちよりも嬉しい気持ちの方が大きかった。
「忘れもんないか?」
「はい。」
翌日、利一さんが雅樹さんを家まで送って行くことになった。
黒崎さん家に借りた軽トラだから俺は留守番。
「泉くん、花ちゃん、ありがとう。」
「うん!まさくん元気でね!」
花ちゃんはランドセルを背負ったまま手を振る。