Secret Lover's Night 【連載版】

 決断は愛の誓い

―翌朝。

早朝に電話をかけたにもかかわらず、メーシーは快く二つ返事で千彩のカットを了承してくれた。予定より少し早めに家を出ると、事務所とは違う方向へと車を走らせる。

「ほら、あれ見てみ?」

車を脇に寄せ、助手席の千彩の視線を促す。


「あれな?俺の彼女なんや。俺が一番愛してる人」


晴人が指す先には、あの日撮った千彩の写真がある。大好きだと、そう言って笑ってくれたあの写真。あの日の千彩を、天使だと思った。飛び立ってしまわぬよう、どうにか羽根をもいで永遠にこの腕の中に閉じ込めたい、と。

「じゃあ、はるもちさのカノジョ?」
「俺?俺は彼女ちゃうよ」
「なんで?ちさが一番愛してる人やのに?」
「お前が言うなら彼氏やな」
「カレシ?」
「そう。俺は千彩の彼氏」

ちゅっと頬に口付けると、擽ったそうに笑ってくれる。早朝で良かった…と、人通りの少なさにホッと胸を撫で下ろした。

「さぁ、行くか。メーシー待ってるかもしれんわ」
「うん!」

一度くしゃりと頭を撫で、再びハンドルを握る。開けた窓から流れ込む風に、サラリと千彩の髪が靡いていた。
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