Secret Lover's Night 【連載版】
「サナちゃん、風呂入ろう、風呂!」
自分の着ていたジャケットを着せてはいたものの、ずぶ濡れになるまで雨に打たれていたのだ。風邪を引いてしまうかもしれない。そのために連れて来たのに!と、慌てて照明のスイッチを入れ直し、浴室へと導こうとした。
が、一向に動く気配を見せないサナにハルは首を傾げる。
「やっぱ…帰る」
「どないしたん、ここまで来て」
「何か…よくないと思う」
「よくない?」
「オニーサンは、「サナ」のお客さんじゃない、から」
そう言ったきり蹲って膝を抱えたサナを置いて、ハルは無言で部屋の中へと足を進めた。クローゼットを開き、奥にしまい込んでいた小ぶりの箱を手にしてまた無言で玄関へと戻る。
「これで足りるか?買うてほしいなら買うたんで。好きな値段言いや」
意地の悪い言い方だっただろうか。
蓋を開き、サナの前へと差し出したその箱。その中には、数十…いや、100は超えるだろう枚数のお札がきっちりと揃えて収められている。
「俺な、ハルってゆうんや。晴天の「晴」って書いてハル。「サナ」ちゃん、君の名前は?」
同じようにしゃがみ込んだ晴が頭を抱えたままのサナの手を取り、そのまま体を引き寄せた。抱き締めて、ゆっくりと背を上下に撫でる。
まるで子供をあやすかのようなその動きに安心したのか、そっと顔を上げ小さな声でサナは言った。
「ちさ。千を彩るって書いてちさ」
晴の肩口にぴったりと額を付け、離れまいと千彩は擦り寄る。背に腕を回し、そのままギュッと抱きついた。
「千彩」
「はい」
「千彩」
「ん…はい?」
「千彩」
「何?何ですか?」
何度も名を呼ばれ、恥ずかしくなった千彩が密着を解いてふくれっ面をしながら顔を上げる。
その隙に…と、晴の薄い唇が千彩のふくれて突き出したそこにそっと触れた。
自分の着ていたジャケットを着せてはいたものの、ずぶ濡れになるまで雨に打たれていたのだ。風邪を引いてしまうかもしれない。そのために連れて来たのに!と、慌てて照明のスイッチを入れ直し、浴室へと導こうとした。
が、一向に動く気配を見せないサナにハルは首を傾げる。
「やっぱ…帰る」
「どないしたん、ここまで来て」
「何か…よくないと思う」
「よくない?」
「オニーサンは、「サナ」のお客さんじゃない、から」
そう言ったきり蹲って膝を抱えたサナを置いて、ハルは無言で部屋の中へと足を進めた。クローゼットを開き、奥にしまい込んでいた小ぶりの箱を手にしてまた無言で玄関へと戻る。
「これで足りるか?買うてほしいなら買うたんで。好きな値段言いや」
意地の悪い言い方だっただろうか。
蓋を開き、サナの前へと差し出したその箱。その中には、数十…いや、100は超えるだろう枚数のお札がきっちりと揃えて収められている。
「俺な、ハルってゆうんや。晴天の「晴」って書いてハル。「サナ」ちゃん、君の名前は?」
同じようにしゃがみ込んだ晴が頭を抱えたままのサナの手を取り、そのまま体を引き寄せた。抱き締めて、ゆっくりと背を上下に撫でる。
まるで子供をあやすかのようなその動きに安心したのか、そっと顔を上げ小さな声でサナは言った。
「ちさ。千を彩るって書いてちさ」
晴の肩口にぴったりと額を付け、離れまいと千彩は擦り寄る。背に腕を回し、そのままギュッと抱きついた。
「千彩」
「はい」
「千彩」
「ん…はい?」
「千彩」
「何?何ですか?」
何度も名を呼ばれ、恥ずかしくなった千彩が密着を解いてふくれっ面をしながら顔を上げる。
その隙に…と、晴の薄い唇が千彩のふくれて突き出したそこにそっと触れた。