Secret Lover's Night 【連載版】
「こんな状態やから。千彩、お兄には遠慮して何も話さんのや。仕事がどうとか言うて」
「まぁ…晴人は忙しい仕事してるからね」
「そんなもん、休むか辞めるかさして帰って来させんか」
父の思いは、初めて晴人が千彩をここに連れて来た日から変わっていない。
カメラマンなど、東京でしか出来ない仕事ではない。一緒に上京した恵介を連れてこっちに戻り、こっちで千彩と暮らしてほしい。
何度もそれを伝えるのだけれど、晴人は一向に首を縦には振らなかった。
「そうゆうわけにはいかんやろ。一応お兄は有名なんやから」
「自分の嫁さんがこんな状態やのに、そんな悠長なこと言うてられるんか」
「いや、もう…ちょっと俺の話聞いてや」
これ以上長引かせると、きっと父は怒って晴人に電話をするだろう。せっかく本人も納得してくれたのに…と、自分の計画を台無しにしてしまいそうな父を制し、智人は一度大きく背伸びをして決意を告げた。
「昨日悠真にも話したんやけど、俺、バイト辞める」
「何でお前が辞めるんや。辞めるんは晴人やろ」
「せやから言うたやん。千彩、お兄にはよぉ話さんのやて」
「ほんなら、智人には話してくれるの?」
「まぁ、ちょっとずつやけど、それなりに話してくれよる。昨日も何やかんや話して、結局話し疲れて寝たんや」
「…そう」
晴人の千彩に対する想いを知っているだけに、母の心境は複雑で。あの子は納得したのだろうか…と思い、あぁ、そうやって自分を抑える術を知っている子だったと改めた。
「千彩の面倒は俺が見るから」
「大丈夫なん?」
「大丈夫や。せやけど、さすがに練習はいつまでも休めんから、連れて行く」
「大丈夫なん?」
「何とかなるわ。ほんで、吉村さんに今月いっぱいでええから千彩をここに居らすように頼んでくれへんかな?こんな状態で帰ったら、塞ぎ込んでもうたら困るし」
あの自由気ままな次男坊がここまで言うとは…と、父の思いもまた複雑で。うぅんと唸り首を縦に振ると、何も言わずにそっとリビングを出た。
「まぁ…晴人は忙しい仕事してるからね」
「そんなもん、休むか辞めるかさして帰って来させんか」
父の思いは、初めて晴人が千彩をここに連れて来た日から変わっていない。
カメラマンなど、東京でしか出来ない仕事ではない。一緒に上京した恵介を連れてこっちに戻り、こっちで千彩と暮らしてほしい。
何度もそれを伝えるのだけれど、晴人は一向に首を縦には振らなかった。
「そうゆうわけにはいかんやろ。一応お兄は有名なんやから」
「自分の嫁さんがこんな状態やのに、そんな悠長なこと言うてられるんか」
「いや、もう…ちょっと俺の話聞いてや」
これ以上長引かせると、きっと父は怒って晴人に電話をするだろう。せっかく本人も納得してくれたのに…と、自分の計画を台無しにしてしまいそうな父を制し、智人は一度大きく背伸びをして決意を告げた。
「昨日悠真にも話したんやけど、俺、バイト辞める」
「何でお前が辞めるんや。辞めるんは晴人やろ」
「せやから言うたやん。千彩、お兄にはよぉ話さんのやて」
「ほんなら、智人には話してくれるの?」
「まぁ、ちょっとずつやけど、それなりに話してくれよる。昨日も何やかんや話して、結局話し疲れて寝たんや」
「…そう」
晴人の千彩に対する想いを知っているだけに、母の心境は複雑で。あの子は納得したのだろうか…と思い、あぁ、そうやって自分を抑える術を知っている子だったと改めた。
「千彩の面倒は俺が見るから」
「大丈夫なん?」
「大丈夫や。せやけど、さすがに練習はいつまでも休めんから、連れて行く」
「大丈夫なん?」
「何とかなるわ。ほんで、吉村さんに今月いっぱいでええから千彩をここに居らすように頼んでくれへんかな?こんな状態で帰ったら、塞ぎ込んでもうたら困るし」
あの自由気ままな次男坊がここまで言うとは…と、父の思いもまた複雑で。うぅんと唸り首を縦に振ると、何も言わずにそっとリビングを出た。