Secret Lover's Night 【連載版】
正直な話、自分でもよくわからない。
と言うよりも、思い出したくはない。


どうしてこうなったのか、何が俺をこうさせたのか。


時々ふと思い出したかのように考えてみるのだけれど、決まってある一定の箇所で思考が切断される。

これはもう「積み重ねだ」と諦めるより他ないのだと思う。


この仕事を始めた頃は、まだ何か思うところがあった。

好みのタイプのモデルを落としたいと思うこともあったし、それが脱げば、レンズ越しだろうが欲望を駆り立てられることもあった。

それが今では、何も感じない。

どんなに美人なモデルにも、どんなにスタイルの良いモデルにも、俺の心は微動だにしない。


モデルは「芸術品」


ただ一つだけ、共感出来る社長の言葉。

カメラマンとしては正しい判断なのかもしれないけれど、男としてはどうだろう。それを疑問視したところで、こうなってしまったものはどうしようもないのだけれど。


何かが欠けた。
心の中の何かが。


いくら探しても見つからないのだ、その欠片は。

いつしかそれを探すことを止め、与えられる悦ばしい感覚を味わうだけになった。
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