Secret Lover's Night 【連載版】
簡単に入浴を済ませてリビングへ戻ると、既に宴会場と化したそこにドライヤーを持った千彩がポツンと座っていた。
「ともとー、髪して」
「んー?」
「かーみー」
「えー」
「おにーさまに自分でしなさいって言われた」
「ほな自分でせんか」
「イヤ。ともとがして」
千彩がフルフルと頭を振る度、半乾きの髪が揺れる。これでは風邪を引く。と、ドライヤーを受け取って、智人は千彩を和室へと促した。
「気持ちいいー!」
暖かい風を受けながら、千彩は終始ご機嫌で。そんな姿を見ていると、吉村に言った通り妹が増えたみたいで何だかくすぐったい。
「お前はほんまに甘えたやな。晴人も苦労するわ」
「んー?」
「あっち向いとけ」
「はーい」
くるりと振り向いた千彩の頭を掴んで前に向け、智人はふぅっと言葉に出来ない思いを吐き出した。
晴人ほど女慣れはしていないと言えど、智人とて女の扱いに慣れていないわけではなくて。つい数ヶ月前まで恋人もいた。一時期は結婚を迫られたこともある。まぁ、それが嫌で別れたのだけれど、それなりの相手とそれなりの付き合いはしてきたつもりでいる。
けれど、こうして甘えてくれる千彩を無条件に「可愛い」と思ってしまうあたり、自分にも晴人と同じ気質があるのではないかと不安になってしまう。
「ロリコンちゃうぞ、俺は」
自分に言い聞かせるように小さく呟いた智人の声は、大きく唸るドライヤーの音に掻き消された。
「はい、終わり。何て言うんや?」
「ともと、ありがとう」
「よし。どういたしまして」
乾いた髪をサラサラと揺らし、千彩はとても嬉しそうで。そんな千彩の頭をポンポンと撫で、智人は立ち上がってリビングに向かって大きく息を吐いた。
「メシにするか」
「ちさ、お手伝いする!」
「おぉ。手伝うてこい」
パジャマ姿でペタペタと足音を立てながらキッチンへ向かう千彩は、どう見ても中学生で。
あれはない。
絶対あれはない!
と必死に自分に言い聞かせ、智人はソファでご機嫌な父に傾けられていたグラスを奪い取った。
「ともとー、髪して」
「んー?」
「かーみー」
「えー」
「おにーさまに自分でしなさいって言われた」
「ほな自分でせんか」
「イヤ。ともとがして」
千彩がフルフルと頭を振る度、半乾きの髪が揺れる。これでは風邪を引く。と、ドライヤーを受け取って、智人は千彩を和室へと促した。
「気持ちいいー!」
暖かい風を受けながら、千彩は終始ご機嫌で。そんな姿を見ていると、吉村に言った通り妹が増えたみたいで何だかくすぐったい。
「お前はほんまに甘えたやな。晴人も苦労するわ」
「んー?」
「あっち向いとけ」
「はーい」
くるりと振り向いた千彩の頭を掴んで前に向け、智人はふぅっと言葉に出来ない思いを吐き出した。
晴人ほど女慣れはしていないと言えど、智人とて女の扱いに慣れていないわけではなくて。つい数ヶ月前まで恋人もいた。一時期は結婚を迫られたこともある。まぁ、それが嫌で別れたのだけれど、それなりの相手とそれなりの付き合いはしてきたつもりでいる。
けれど、こうして甘えてくれる千彩を無条件に「可愛い」と思ってしまうあたり、自分にも晴人と同じ気質があるのではないかと不安になってしまう。
「ロリコンちゃうぞ、俺は」
自分に言い聞かせるように小さく呟いた智人の声は、大きく唸るドライヤーの音に掻き消された。
「はい、終わり。何て言うんや?」
「ともと、ありがとう」
「よし。どういたしまして」
乾いた髪をサラサラと揺らし、千彩はとても嬉しそうで。そんな千彩の頭をポンポンと撫で、智人は立ち上がってリビングに向かって大きく息を吐いた。
「メシにするか」
「ちさ、お手伝いする!」
「おぉ。手伝うてこい」
パジャマ姿でペタペタと足音を立てながらキッチンへ向かう千彩は、どう見ても中学生で。
あれはない。
絶対あれはない!
と必死に自分に言い聞かせ、智人はソファでご機嫌な父に傾けられていたグラスを奪い取った。