Secret Lover's Night 【連載版】
千彩が家事を全てやり終えたのは、昼間近のことだった。
ピカピカになった室内を見渡し、両手を腰に当てて「マリポーズ」をしながら満足げにうんうんと頷いた千彩。そうしているとちょうど炊飯器のアラームがピーと鳴り、炊き立てのご飯を前に千彩はニッと笑顔を作った。
「あちちっ」
小さな手でギュッギュッとおにぎりを握りながら、千彩は浮かれ気分で。小さなおにぎりを三つ作り、お気に入りのお弁当箱にそれを入れて再びうんうんと頷いてそれを包んだ。
一人で居ても十分に楽しそうな千彩なのだけれど、これからもっと楽しいことが待っている。そう思うと、羽でも生えてきそうなくらい気分は軽くて。ルンルンと鼻歌を歌いながら準備をし、ソファでじっと千彩を待つ親友の頭をポンッと撫でた。
「プリン君、ちさおでかけしてくるね。はるが帰るまでには帰るからね。いってきまーす」
いつもならば忘れずに携帯をポケットに押し込むのだけれど、今日の千彩はいつも以上に浮かれ気分で。ふわりと軽いジャケットを羽織り、お弁当包みだけを持って家を出てしまった。
それを見送りながら「あーあ。忘れん坊さん」と親友は思うけれど、如何せんぬいぐるみなもので彼がそれを口に出すことはない。
開け放たれたままの窓からそよぐ春風が、オフホワイトのレースのカーテンを揺らしていた。
ピカピカになった室内を見渡し、両手を腰に当てて「マリポーズ」をしながら満足げにうんうんと頷いた千彩。そうしているとちょうど炊飯器のアラームがピーと鳴り、炊き立てのご飯を前に千彩はニッと笑顔を作った。
「あちちっ」
小さな手でギュッギュッとおにぎりを握りながら、千彩は浮かれ気分で。小さなおにぎりを三つ作り、お気に入りのお弁当箱にそれを入れて再びうんうんと頷いてそれを包んだ。
一人で居ても十分に楽しそうな千彩なのだけれど、これからもっと楽しいことが待っている。そう思うと、羽でも生えてきそうなくらい気分は軽くて。ルンルンと鼻歌を歌いながら準備をし、ソファでじっと千彩を待つ親友の頭をポンッと撫でた。
「プリン君、ちさおでかけしてくるね。はるが帰るまでには帰るからね。いってきまーす」
いつもならば忘れずに携帯をポケットに押し込むのだけれど、今日の千彩はいつも以上に浮かれ気分で。ふわりと軽いジャケットを羽織り、お弁当包みだけを持って家を出てしまった。
それを見送りながら「あーあ。忘れん坊さん」と親友は思うけれど、如何せんぬいぐるみなもので彼がそれを口に出すことはない。
開け放たれたままの窓からそよぐ春風が、オフホワイトのレースのカーテンを揺らしていた。