Secret Lover's Night 【連載版】
智人からの着信を受け慌てて電話に出た恵介は、自分の耳を疑った。

「え?もっかい」
『だから、悠真が千彩見つけたって。今から吉村さんと迎えに行ってそっち戻るから』
「悠真?何で悠真?」
『俺もわからん。取り敢えずそうゆうことやから、もうちょっと待っといて』
「あぁ…うん。わかった」

電話を切り、恵介は改めて首を傾げる。何故悠真が?と。ゆっくりと悩みたいところなのだけれど、男二人の突き刺すような視線を前にそれを出来るほど恵介も無神経ではなかった。

「ちーちゃん、見つかったって」
「どこでっ!?無事なんかっ!?」
「何も言うてなかったから無事なんやと思う」
「何やねんそれ!」
「俺も詳しくわからんねん。智人の話やと、悠真が見つけたって」
「悠真が!?何であいつが見つけんねん!」
「わからん。わからんけど、連れて帰るからもうちょっと待っといてって」
「どこにおんねん!俺が迎えに行く!」

立ち上がった晴人の肩を押し、メーシーが待ったをかける。ゆっくりと首を横に振り、取り敢えず落ち着け、と視線だけで抑え付けた。

「こっちに連れて戻って来るんだろ?」
「うん。そう言うとった」
「なら、慌てることないじゃないか」
「でもっ…」
「姫は無事だったんだ。吉村さんも一緒なんだから心配無い。俺達はこれからのことを話し合おう。このままじゃダメだ」

いつでも冷静なメーシーは、この状況の中で今後のことを考えていて。何とか自分達で環境を整え、千彩をここへ留まらせるために。そうしなければ、あの7ヶ月間の如く晴人の仕事に支障が出るのはわかりきったことだった。

そしてそれは、晴人だけのものではないということも。
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