Secret Lover's Night 【連載版】
「もう絶対一人でどっか行かんといて。いつでも俺の傍におって。それ守ってくれるんやったら、掃除も洗濯も好きなだけサボッてええから」
君以外何も要らない。
晴人はそう伝えたかったのだけれど。
「はる、お仕事行かないん?」
「え?」
「ちさもはるのお仕事一緒に行くん?」
「え?あー…」
やはり千彩には伝わらなかった。回転速度の鈍った頭でなければ、それは予想できたのだけれど。
「難しい?」
「うーん…よくわからん」
「ほな、こうしよう」
起き上がり、晴人は千彩の手を取る。ゆっくりと引き寄せ、左手の薬指に唇を寄せた。
「俺と一緒じゃないと外に出たあかん」
「おやつも?」
「おやつも。ちぃは何でも作れるんやから、おやつも家で作ったらええやろ?また本買うたるから」
「けーちゃんとも?」
「恵介と出掛ける時は、俺にメールして。マリと行く時もやで?」
「うん」
所謂、軟禁というやつだ。けれど、千彩の辞書にそんな文字は無い。大きく頷き、アッサリとそれを受け入れてしまう。
「約束やで?」
「うん。ちさ、もうお約束破らない」
「破ったら、幸せが壊れてまうからな?」
「うん!わかった!」
笑顔で大きく頷いた千彩は、再びギュッと晴人に抱き付きその温もりを確かめた。
晴人の体温は、いつでも自分よりも少し低い。けれど、それが心地好い。柔軟剤ともボディソープとも違う大人の香りも、ギュッと強く自分を抱き締めてくれる腕も、どれもが大好きで、愛おしくて。やっぱり晴人が一番。改めてそう感じる。
「ちぃ」
「んー?」
「帰って来てくれてありがとう」
お礼など、言ってもらえるような立場ではない。けれど、そんな立場などという難しいものがこの少女にわかるはずはない。にっこりと笑って「どういたしましてー」と言う千彩を、晴人は叱ることが出来なかった。
そんな様子を薄っすらと目を開けながら盗み見ていた恵介は、寝返りを打つフリをして苦笑いを隠した。
君以外何も要らない。
晴人はそう伝えたかったのだけれど。
「はる、お仕事行かないん?」
「え?」
「ちさもはるのお仕事一緒に行くん?」
「え?あー…」
やはり千彩には伝わらなかった。回転速度の鈍った頭でなければ、それは予想できたのだけれど。
「難しい?」
「うーん…よくわからん」
「ほな、こうしよう」
起き上がり、晴人は千彩の手を取る。ゆっくりと引き寄せ、左手の薬指に唇を寄せた。
「俺と一緒じゃないと外に出たあかん」
「おやつも?」
「おやつも。ちぃは何でも作れるんやから、おやつも家で作ったらええやろ?また本買うたるから」
「けーちゃんとも?」
「恵介と出掛ける時は、俺にメールして。マリと行く時もやで?」
「うん」
所謂、軟禁というやつだ。けれど、千彩の辞書にそんな文字は無い。大きく頷き、アッサリとそれを受け入れてしまう。
「約束やで?」
「うん。ちさ、もうお約束破らない」
「破ったら、幸せが壊れてまうからな?」
「うん!わかった!」
笑顔で大きく頷いた千彩は、再びギュッと晴人に抱き付きその温もりを確かめた。
晴人の体温は、いつでも自分よりも少し低い。けれど、それが心地好い。柔軟剤ともボディソープとも違う大人の香りも、ギュッと強く自分を抱き締めてくれる腕も、どれもが大好きで、愛おしくて。やっぱり晴人が一番。改めてそう感じる。
「ちぃ」
「んー?」
「帰って来てくれてありがとう」
お礼など、言ってもらえるような立場ではない。けれど、そんな立場などという難しいものがこの少女にわかるはずはない。にっこりと笑って「どういたしましてー」と言う千彩を、晴人は叱ることが出来なかった。
そんな様子を薄っすらと目を開けながら盗み見ていた恵介は、寝返りを打つフリをして苦笑いを隠した。