Secret Lover's Night 【連載版】
またコイツか…と、千彩の頭を撫でながら笑う少年を見ながら大きく息を吐く。


司馬渚


元誘拐犯のくせに随分と大きな態度を取ってくれる。

「おい、ナギ。恵介は?」
「あぁ。家で寝てるよ。時雨がついてる」
「いや…それ、世間では「監禁」言うんやぞ」
「ヒドイなー。少し眠ってもらってるだけだよ。それに、僕にはオッサンを監禁する趣味なんてない」

ね?と笑う渚に、晴人は堪えていたため息を吐いた。

「この犯罪者め」
「浮気男に言われたくないね」
「誰が浮気男や」

あの事件以来、千彩は頻繁に司馬の屋敷へと足を運んでいる。あまりの頻度の高さに「加減を考えろ」とは思うのだけれど、千彩にそれを言っても無駄なことはわかっている。

それに、自分が一度良いと言ってしまった手前、なかなかそれも言えなくて。何より、千彩が楽しそうなのだ。だったらいい。家に一人でいるよりは安全だ。と仲間達にも諭され、渋々受け入れている状態なのだ。

「面倒くさいことすんなよ。帰るぞ」
「面倒だって、千彩。やっぱ晴人は浮気してんだよ」
「しとらへん言うとるやろ!ロリコン嘗めんなよ!」

あまりにイラッとしたものだから、つい。けれど、その「つい」が通用しない人物が一人。

「やっぱり…」

打たれた頬を摩りながら恨みがましい目を向けるのは、先ほどまで自分にベッタリ甘えていたはずのレンだ。
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