Secret Lover's Night 【連載版】
目が暗闇に慣れ、徐々にではあるが周りが見えるようになり始めた頃、サナがピタリと立ち止まった。それを真似て、ハルも同じように立ち止まる。
「あかり持って来る。ここ」
そう言って指されたのは、「おそらく」ソファだった。
いくら暗闇に慣れたと言えど、完全に判別出来るまでにはそれなりの時間を要するというもので。恐る恐る腰かけ、曖昧に認識したままだった物が明確になった安堵でハルは少し頬を緩ませる。
とは言え、廃墟に近いだろうこのビルの暗さと湿度の高さ、加えて埃臭さに不快感は拭えない。
大きさは、二人掛けくらいだろうか。布製のソファに、毛布が一枚と枕が一つ無造作に置いてある。
ここで寝起きしているのだろうか。と、手持無沙汰にハルがその枕を抱え込んだ途端、クスクスと小さな笑い声が起こる。シンと静まり返った部屋には、それがよく響いていた。
「怖い?」
「あぁ、いや、そうゆうわけちゃうんやけど…」
慌てて枕を手放すと、ハルは照れ隠しに頭を掻きながら顔を背ける。サナの持って来たキャンドルの明かりで、そんな姿が丸見えだとも露知らず。
灯を揺らめかせながらゆっくりとテーブルに置き、サナはソファの下へと座り込んだ。
「サナちゃん」
「はい?」
「明かりってそれ?」
「そうです」
「え?電気とか…は?」
「電気は…お金を払っていないのでつきません」
「点きません…って」
そこまで言って、とうとうハルが噴き出した。それはもう、盛大に。
「あかり持って来る。ここ」
そう言って指されたのは、「おそらく」ソファだった。
いくら暗闇に慣れたと言えど、完全に判別出来るまでにはそれなりの時間を要するというもので。恐る恐る腰かけ、曖昧に認識したままだった物が明確になった安堵でハルは少し頬を緩ませる。
とは言え、廃墟に近いだろうこのビルの暗さと湿度の高さ、加えて埃臭さに不快感は拭えない。
大きさは、二人掛けくらいだろうか。布製のソファに、毛布が一枚と枕が一つ無造作に置いてある。
ここで寝起きしているのだろうか。と、手持無沙汰にハルがその枕を抱え込んだ途端、クスクスと小さな笑い声が起こる。シンと静まり返った部屋には、それがよく響いていた。
「怖い?」
「あぁ、いや、そうゆうわけちゃうんやけど…」
慌てて枕を手放すと、ハルは照れ隠しに頭を掻きながら顔を背ける。サナの持って来たキャンドルの明かりで、そんな姿が丸見えだとも露知らず。
灯を揺らめかせながらゆっくりとテーブルに置き、サナはソファの下へと座り込んだ。
「サナちゃん」
「はい?」
「明かりってそれ?」
「そうです」
「え?電気とか…は?」
「電気は…お金を払っていないのでつきません」
「点きません…って」
そこまで言って、とうとうハルが噴き出した。それはもう、盛大に。