君に夢中で恋してる*
「あれ…?確か、前に電車で会った時…ここで降りてたような気が…。」
首を傾げる日向君に、私は申し訳なく思いながら口を開く。
「この前は……あのっ、大きな悲鳴あげたり、自分のバッグひっくり返したりして……恥ずかしくなっちゃって、ちょうど停車した駅で途中下車したの…。」
言ってる間にも、あの時の光景が浮かんできて、とてつもない恥ずかしさが押し寄せる。
電車の扉が閉まり、再び走りだすと、日向君はフッと笑った。
あぁ…。
やっぱり、笑われちゃうよね…。
変なヤツ…って思ってるだろうなぁ…。
どんよりと暗い気持ちに浸っていると、日向君は穏やかに微笑んだ。
「ごめんな、笑ったりして。椎名の話を聞いたら、可愛いな…と思って、微笑ましくなったんだ…。」
えっ…。
想像してなかった言葉に目を見開く。
驚きのあまり、日向君を凝視してしまった。