君に夢中で恋してる*
「椎名に会えたから。」
「わ、私…?」
「ああ…。」
驚きのあまり、素っ頓狂な声を出す私に、日向君は柔らかく目を細める。
「もしも徒歩通学を続けていたら、椎名の笑顔も、クルクル変わる可愛い表情も、微笑ましい仕草も、知らないままだっただろうからさ…。」
鼓動の大きな波が、体中に広がっていく。
ドキドキが指先や唇にまで伝わって、細かく震えているのが分かった。
ど、どうしよ…。
すごく、すごく嬉しい…。
溢れんばかりの嬉しさに、ジワッと涙が滲んで、視界が少し霞んだ。
私も…電車通学で良かった…。
だって、そのおかげで日向君と話すことが出来たんだもん…。
本当に良かった…。