君に夢中で恋してる*
「椎名…」
「雷が近くで鳴ったから驚いたけど、もっ…もう大丈夫。いきなり悲鳴あげたりして、ごめんね…。」
ゆっくり立ち上がる私と一緒に、日向君も立ち上がる。
「本当に、もう平気…?」
「うん…。」
優しい声に、私はコクンと頷いた。
私のせいで、足止めさせちゃった…。
こんな雨の中だし、日向君だって…早く自分の家に帰りたいはずなのに…。
また迷惑かけちゃったよ…。
「それじゃあ、行こっか…。」
「あっ、待って…日向君。」
私は、歩き出そうとする日向君を呼び止めた。
「どうした…?」
「あのっ、送ってもらうのは…ここまででいいよ…。私の家、その先の角を曲がって少し行ったところだから…。」
曲がり角の方をパッと指差した。
ここからは、ダッシュで帰れば直ぐに家に着く。
これ以上、日向君に気を遣わせちゃうのは悪いもん…。
「じゃあ、私…行くね。」
お辞儀をして傘から出ようとした瞬間、腕を掴まれて日向君の方に引き寄せられてしまった。