君に夢中で恋してる*

「そんなことしたら、雨に濡れる…。風邪、ひくかもしれないだろ?」


日向君の温かい声が降ってくる。


触れてしまいそうなほど近い私たちの距離。


ドクンドクンと鳴り響く鼓動は、日向君に聞こえるんじゃないか…と思うほどだ。


「俺が家の前まで、ちゃんと送るから…。な?」


見上げれば、微笑む日向君の顔が映る。


どこまでも気遣ってくれる日向君の優しさが嬉しくて、私はゆっくり頷いた。


「よ、よろしくお願いします…。」


ぎこちなく言葉にすると、日向君はニコッと笑って掴んでいた私の腕を離す。


「んじゃ、あらためて…行こう?」


「う、うん…!」


そして、私たちは家に向かって再び足を進めた。



< 121 / 305 >

この作品をシェア

pagetop