君に夢中で恋してる*
「じゃあ、俺…そろそろ行くよ。」
ニコッと笑顔を浮かべてから、背を向けて歩きだす日向君。
そうだ…。
日向君に、きちんとお礼を言わなくちゃ…。
「あ、あのっ……」
少しずつ私から離れていく彼を呼び止める。
「ん?」
「今日は…勉強教えてもらったり、こうして雨の中…傘に入れてくれたり…。本当にありがとう…。」
「どうってことないよ。椎名のためなら、何だって力になりたいから…。でも、さっきはごめんな…。近くで雷が鳴った時、何も出来なくて…。」
申し訳なさそうな表情の日向君に、私はブンブンと首を横に振った。
「そそっ、そんなことないよ…!日向君が傍に居てくれたから、あの時…気持ちを落ち着けることが出来たの…。とても心強かった…。日向君の…おかげだよ…。」
あ……。
私ってば、またしても素直に思ったことを、そのまま言葉にしちゃった…。
恥ずかしくて心の中で“ひゃああ”と悲鳴をあげていると、日向君はフッと笑った。