君に夢中で恋してる*

「じゃあ、俺…そろそろ行くよ。」


ニコッと笑顔を浮かべてから、背を向けて歩きだす日向君。


そうだ…。


日向君に、きちんとお礼を言わなくちゃ…。


「あ、あのっ……」


少しずつ私から離れていく彼を呼び止める。


「ん?」


「今日は…勉強教えてもらったり、こうして雨の中…傘に入れてくれたり…。本当にありがとう…。」


「どうってことないよ。椎名のためなら、何だって力になりたいから…。でも、さっきはごめんな…。近くで雷が鳴った時、何も出来なくて…。」


申し訳なさそうな表情の日向君に、私はブンブンと首を横に振った。


「そそっ、そんなことないよ…!日向君が傍に居てくれたから、あの時…気持ちを落ち着けることが出来たの…。とても心強かった…。日向君の…おかげだよ…。」


あ……。


私ってば、またしても素直に思ったことを、そのまま言葉にしちゃった…。


恥ずかしくて心の中で“ひゃああ”と悲鳴をあげていると、日向君はフッと笑った。



< 123 / 305 >

この作品をシェア

pagetop