君に夢中で恋してる*
なんだよ、アイツら。
椎名のこと、見過ぎだろ…。
すれ違う際、冷ややかな視線を投げつけたけど、男たちは椎名ばかり見ていて、全く気付いていないようだった。
ったく、ニヤニヤしながら見てんじゃねぇよ…。
男たちに対して、妙にイラついてしまった。
「日向君、眉間にシワ寄ってるけど…大丈夫?ひょっとして、私の歩くスピード…遅すぎるとか…?」
気まずそうな表情を浮かべる椎名に、俺は慌てて首を横に振った。
「あっ、いや…違うんだ。そうじゃないから…。」
椎名の歩くペース、遅すぎたりなんかしない。
程よくゆっくりで和むし、並んで歩くと心地いいぐらいだ。
「そ、そっか…。それならいいんだけど…。」
ホッとした様子の椎名。
そんな彼女を見ながら、ふと頭の中に疑問が湧いた。
「なあ、椎名…。」
「どうしたの…?」
「あのさ、変なこと聞くけど…、ここに来るまで誰かに声掛けられたりとかしなかったか?」
「えっ…?」
「特に、男に…。」