君に夢中で恋してる*

さっきの男たちですら、声を掛けたそうな顔をしてたぐらいだ。


ここに来るまでの間、既に男に話し掛けられたりしていても不思議じゃない。


「ううん、誰にも声なんて掛けられなかったよ…。」


「そっか…。」


キョトンとしている椎名を見ながら、胸を撫で下ろした。


「それならいいんだ…。ナンパされたりしてないかと思って、ちょっと気になっただけだから…。」


クシャクシャと頭を掻いていると、椎名から“えぇっ!?”と驚きの声が飛んできた。


「そっ、それは無いよ!絶対に無い…!有り得ないよ…!」


いやいや、十分有り得るって。


全力で否定する椎名に苦笑いしてしまった。


この無防備な感じ、ものすごく危険だ…。


椎名は可愛いんだし、ナンパされる可能性が高いこと、もっと自覚してもらいたい…。


ホッとしたのも束の間、今度は胸が騒つくのを感じた。



< 168 / 305 >

この作品をシェア

pagetop