君に夢中で恋してる*
さっきの男たちですら、声を掛けたそうな顔をしてたぐらいだ。
ここに来るまでの間、既に男に話し掛けられたりしていても不思議じゃない。
「ううん、誰にも声なんて掛けられなかったよ…。」
「そっか…。」
キョトンとしている椎名を見ながら、胸を撫で下ろした。
「それならいいんだ…。ナンパされたりしてないかと思って、ちょっと気になっただけだから…。」
クシャクシャと頭を掻いていると、椎名から“えぇっ!?”と驚きの声が飛んできた。
「そっ、それは無いよ!絶対に無い…!有り得ないよ…!」
いやいや、十分有り得るって。
全力で否定する椎名に苦笑いしてしまった。
この無防備な感じ、ものすごく危険だ…。
椎名は可愛いんだし、ナンパされる可能性が高いこと、もっと自覚してもらいたい…。
ホッとしたのも束の間、今度は胸が騒つくのを感じた。