君に夢中で恋してる*
「ごっ、ごめんね!私一人ではしゃいで…。日向君、退屈だよね…。」
椎名は、申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「そ、そろそろお店…出よっか…。」
「あっ、椎名。」
出口に向かって歩きだそうとする彼女を、直ぐに引き留めた。
「俺のことは気にしなくていいから、ゆっくり買い物して?」
「でも……」
「俺、退屈だなんて思ってないから。椎名の傍に居るだけで楽しいし。」
自然と笑顔になれるんだよな。
「あっ、えっと……それじゃあ、アクセサリーをもう一度…見てきてもいい…でしょうか?」
「…もちろん。」
ソワソワと…ぎこちなく話す椎名に笑って頷くと、彼女は足早にアクセサリーのコーナーへと向かった。
俺も彼女の後に続いて行こうとしたけれど、その足をふと止める。
そして、椎名が今の今まで見ていたパスケースへと視線を移した。