君に夢中で恋してる*
えっ、えぇっ!?
私、日向君の胸の中に抱き寄せられちゃった…!
何度も瞬きを繰り返す。
ビックリし過ぎて固まっていると、日向君が“ふぅ…”と一息ついた。
「良かった、椎名が見つかって…。でも、もっと早く見つけることが出来ていたら、さっきのヤツに絡まれること…なかったよな。ごめん…。」
えっ…。
どうして、日向君が謝るの…?
はぐれちゃったのは私だし…、日向君は…わざわざ捜しに来てくれたのに…。
私は日向君の顔を見上げた。
「そ、そんな…。私の方こそ…迷惑かけちゃって、ごめんなさい…。それと、助けてくれて…ありがとう…。」
さっき途中になっていた言葉を改めて言い直すと、日向君はフワッと穏やかに微笑んだ。
「お礼、言われるほどのこと…してないよ。何はともあれ、あの男に攫われる前に椎名を見つけられて、本当に良かった…。」
向けられたのは、とても温かい眼差し。
さっきの男の子を見ていた時のような鋭さは、嘘のように消えていた。