君に夢中で恋してる*

優しいなぁ…日向君。


これまでに何度となく、そう感じてきたけど、今日もまた…実感してしまう。


ホンワリと温かい気持ちが体中に広がるのを感じながら、ふと…周りに視線を移した瞬間。


私はビクッと肩を震わせてしまった。


なぜなら、行き交う人たちの殆どが私たちの方を見ていたからだ。


微笑ましそうに見て行く人、ニヤニヤしながら見て行く人…など。


注がれる視線を目の当たりにして、私は自分の置かれてる状況を思い出した。


そ、そうだ…。


私…日向君に抱きしめられてたんだ…!


カアアッと一気に熱くなる頬。


恥ずかしさが押し寄せる中、私は日向君の浴衣をギュッと握った。


「ひゅ、日向君っ…!あのっ、そろそろ離してもらっても…いい?み、みんな…見てるし…。」


小さな声で訴えると、日向君も周りを見た後、慌てて私を離してくれた。



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