君に夢中で恋してる*
「いつ頃から付き合い始めたの?つい最近…とか?」
興味津々…とばかりに目を輝かせるお母さん。
も、もう…。
どうして、そんなに話が先に進んでるの…!?
日向君が隣に居ることもあり、とびきりの恥ずかしさが押し寄せた私。
沸騰しそうな顔をブンブンと横に振った。
「ちち、違うの…!日向君は…彼氏じゃなくて、おっ…同じクラスの男の子だよ…。そ、それだけ…だから…。」
「あら、そうなの…?とてもいい雰囲気に見えるんだけど……。」
お母さんは、意外…と言わんばかりに瞬きをしながら、私と日向君を交互に見る。
湯気が出そうなほど熱い顔を俯けようとした時、日向君は繋いでいた手をゆっくり離した。
「椎名、俺…そろそろ帰るよ。ここで長居していても悪いから…。」
日向君に視線を向けると、気まずそうな表情をしていた。
「あっ、うん…。」
コクンと頷くと、日向君はお母さんに“失礼します…。”と挨拶をしてから再度、私の方を見て口を開く。
「じゃあ、またな。」
「ま、またね…。」
その言葉の後、フワッと微笑んだ日向君の顔は、なんだか寂しそうで…
その表情を見た私は、胸が何かに掴まれたかのように苦しくなるのを感じた。