君に夢中で恋してる*
好きだから…[side夏綺]
“おっ…同じクラスの男の子だよ…。そ、それだけ…だから…。”
椎名を送って、自分の家へと向かう帰り道。
頭の中では、椎名の言葉がグルグルと回っていた。
椎名にとって、俺は…恋愛対象じゃないのかな…。
溜め息を一つ零した俺は、夜空を見上げた。
電車の中で会って、初めて椎名のことを知って…。
昼ご飯を一緒に食べたり、誕生日を一緒に祝ったり、今日は二人で花火を見た。
椎名のこと知る度…どんどん惹かれていく自分がいて、気付けば…完全に好きになってた…。
夢中になるぐらい。
椎名も、そうだったらいいのに…って思った。
両想いだったら…って。
だけど、違ってた。
少しずつ、お互いの距離が縮まってるんじゃないか…って思ってたけど…
それは、俺の勝手な思い込みだったのかもしれないな。