君に夢中で恋してる*
ノートやプリントを落とさないように気を付けながら、ゆっくり職員室を出る。
ズッシリくる重みに溜め息が零れた。
私が今…教室に運ばなくても、先生が明日の朝、持って来てくれればいいような気がするんだけど…。
そんな不満が心に広がる。
でも、引き受けちゃったからには運ぶしかないよね…。
渋々ながらも歩き始めた時だった。
「椎名、大丈夫か!?」
その声に反応して、視線を上げる。
すると、そこには心配そうな表情をしている日向君が立っていた。
「えっ、日向君…!?」
まさか、こんなところでバッタリ会うなんて、思ってもみなかった私。
驚いた衝撃で、危うくノートやプリントを落としそうになってしまった。
「運ぶの大変だろうし、俺…手伝うよ。」
「だ、大丈夫…!一人で持って行けるから…。」
ぎこちなく答えて、日向君の横を通り過ぎようとしたけれど……
「きゃっ…!」
不意に足がもつれてしまい、バランスが崩れる。
このままだと、転んじゃう…。
そう思った瞬間、私の体は日向君に抱き止められていた。