君に夢中で恋してる*
「危なかったな…。大丈夫?」
頭上から降ってくる優しい声。
日向君の爽やかな香りに、胸がドキンと高鳴った。
以前、電車の中で倒れそうになった時も…
こんな風に抱き止めて助けてもらったんだよね、日向君に……。
あの時の記憶が蘇って、鼓動が一層速くなっていくのを感じた。
「えっと、私は大丈夫…。」
「痛いところとか、ないよな?」
「う、うん…。どこも痛くないよ…。」
慌てて日向君から離れた私だったけど、その弾みで、持っていたノートもプリントも、全て見事に廊下に散らばってしまった。
「あっ……」
私ってば、何やってるのよ…。
しゃがんで拾おうとすると、日向君は私の腕を優しく掴んだ。
「俺が拾うよ。」
「で、でも…落としたのは私だから…」
「すぐに拾うから、ちょっと待ってて?」
柔らかく微笑んだ日向君は、あっという間にノートやプリントを拾って綺麗にまとめる。
そして、それらを軽々と持って歩き始めた。