君に夢中で恋してる*
「日向君っ!?」
て、てっきりグラウンドにいると思ってたのに…。
アタフタしながら、手を自分の後ろに回して御守りを隠した。
「こんなところで立ち止まって、どうしたんだ?何だか俯いてたみたいだけど…調子が悪いのか?」
日向君に渡すための御守りを見てたんだけど、遠目では…そんな風に見えてたんだ…。
私は直ぐに首を横に振った。
「えっと、なっ…なんでもないから大丈夫…。それより、日向君は…これから部活?」
「ああ。グラウンドで練習始めてたんだけど、ちょっと忘れ物しちゃってさ、取りに行ってたんだ。」
「そ、そうなんだ…。」
会話が終わり、しばし流れる沈黙。
ちゃんと話をしなくちゃ…。
そう思うけれど、高まる緊張で唇が震える。
なかなか言いだせずにいると…
「それじゃあ、俺…練習に行くよ。椎名、またな。」
軽く手を振って、グラウンドに向かおうとする日向君。
このままじゃ、せっかくのチャンスを逃しちゃう…。
私は咄嗟に口を開いた。
「あっ、日向君…待って!」