君に夢中で恋してる*
大きな声で呼び止めたせいか、日向君は驚いた表情を浮かべる。
「椎名?」
首を傾げる日向君に、私はガバッと頭を下げた。
「日向君っ、ごめんなさいっ!」
「えっ?」
「花火大会の夜、あんなこと言って…ごめんなさいっ!」
「あんなことって…?」
日向君の声は少し戸惑い気味だ。
そ、それもそうだよね…。
いきなり謝っても、何がなんだか分からないと思うし…。
私は、あの日のことを打ち明けるべく、ゆっくりと顔を上げた。
「日向君が家まで送ってくれた時…。私…お母さんに、日向君のこと…“同じクラスの男の子”“それだけ”って、言ったでしょ?」
「あ、ああ…。」
「実は、あの時…日向君と一緒にいるところを、お母さんに突然見られたから、ビックリしたのと、恥ずかしいのとで、思ってもないこと…言っちゃったの…。」
「えっ…」
瞬きをする日向君。
心臓の音が、ドキドキからバクバクへと変わる。
緊張する心を奮い立たせながら、大きく息を吸った。
「本当はね、私にとって日向君は、とっ…とても大切で、特別な男の子だよ…。」