君に夢中で恋してる*
溢れる感情[side夏綺]
ヤバイ……。
めちゃくちゃ嬉しい…。
昇降口の方へと走っていく椎名。
その後ろ姿を見ながら、ジワジワと頬が緩む。
温かくて穏やかな気持ちが、心の中を満たしていくのを感じていると、碧が俺の脇腹をツンツンと突いた。
「夏綺〜、良かったじゃん。星愛ちゃんから手作りの御守り、プレゼントしてもらえて。」
「お、おう…。」
「ったく、幸せそうなニヤケ顔しやがって…。マジで羨ましすぎるんだけど!」
ツンと口を尖らせる碧に苦笑した後、手のひらに視線を落とす。
さっき、椎名からもらったばかりの御守りを見つめた。
手作り、か…。
そう言えば、椎名…裁縫が好きって言ってたっけ…。
綺麗に編まれていている、毛糸のフワフワな御守り。
サッカーボールの絵も、とても可愛い。
これを、俺のために作ってくれたんだ…。
夢みたいだけど、夢じゃないんだよな…。