君に夢中で恋してる*

「理由、話してくれてありがとう…。昼休みの出来事、きちんと椎名に話すよ。」


日向君はジッと真剣に私を見たまま、言葉を続ける。


「昼休み、三浦に“話がある”って言われて、体育館に行ったんだ…。それで、告白…された。」


「う、うん…。」


あの時の光景が蘇る。


目に熱いものが込み上げてきた。


「突然だったし驚いたけど、ハッキリと返事をした…。“俺には好きな女の子がいるから、三浦とは付き合えない”って…。」


「えっ…」


日向君からの思いも寄らぬ言葉に、瞬きを繰り返した。


三浦さんの告白、断ったんだ…。


で、でも…


日向君、ちゃんと好きな女の子が居るんだ…。


想いを寄せる大切な子が…。


胸がギュッと締め付けられて、どこまでも気持ちが沈んでいく。


だ、ダメ…。


涙が出そう…。


必死に堪えていると、日向君にグイッと手を引かれる。


「…………っ…」


そして、そのまま抱き寄せられてしまった。



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