君に夢中で恋してる*
「あのっ、昨日は本当にごめんなさいっ…!日向君に多大なご迷惑を掛けてしまって……」
「もう謝るなって。俺、昨日のこと…別に迷惑だなんて思ってないから。」
「えっ…」
顔を上げると、日向君は柔らかく微笑んでいた。
や、優しい…。
優しすぎるよ…日向君。
心がじーんと温かくなった。
「それより、俺の方こそ…ごめん。椎名が同じクラスだ…ってことや、それに名前も…。実は昨日…初めて知ったんだ…。椎名は俺のこと知っててくれてるみたいなのに、本当にごめんな。」
申し訳なさそうに謝る日向君に、私は首を左右に振った。
「そ、そんな…謝らないで?日向君は悪くないから。断じて悪くないよ!」
入学式の自己紹介も、近くの子にしか聞こえないぐらいの小声だったから、日向君の席まで届かなかっただろうし…
昨日まで、日向君と会話もしたことなかった。
私の名前を知らないのは当然だよ…!
うんうん、と心の中で頷いた。
あれ…?
でも、日向君…どうして私の名字を知ってるの…?
私、昨日は名前なんて名乗らなかったのに…。