灯火-ともしび-
「あ、流馬?」

「どしたー?」

「今駅前なんだけど、そこからお前の彼女さんの家までの最短ルート教えて。」

「なんで?」

「今、お前の彼女さんのお姉さん、送り届け中だから。」

「おぉ!んっと、そのまんま大通り進むとさ、スーパーあんじゃん?」

「あーはいはい。」


スラスラと説明してくれる弟。
とてもありがたい。
細かいところまで教えてくれるため、大体の感じは分かってきた。


「んで、あの通り曲がったら4軒目だよ。」

「ありがと!助かった。今度ジュース奢る。」

「やった!サンキュー!んじゃ気を付けて帰ってきてなー。」

「うん。」


バスケバカだけど、こういうときはちゃんと使える。
そんな弟と俺は結構仲の良い兄弟だと思う。


「さて、と。行こうかな。」


ケータイを右ポケットにしまい、右腕も背中に回す。


温い風が吹いた。
背中はそれ以上に熱い。

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