ドライヴ〜密室の教習車〜
「……まさか、そんなこと……。でも、確かに《教習中に背中を刺される》って不自然ですもんね……」 

「あと、もうひとつ《不自然》なことがあるのですが……」


 里子ちゃんが、篠さんを首を傾げながら見つめた。



「なぜ、あなたは村上さんは《背中を刺された》と知っているのですか?」



 空気が変わった。


 先程まで名残惜しそうに欠けた姿を晒していた夕日は、いつのまにかすっぽりとこの町のアスファルトの下に埋もれてしまっていた。

 黒と青が、支配しようとしていた。
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