ドライヴ〜密室の教習車〜
 震える全身。
 潤んだ瞳。
 青白い顔。

 彼女がまだ《幼い女性》であることを思い知らされた気がした。

 限界なんだろう。


「里子ちゃん、ごめんね。でも私達、気付いちゃったんだ。里子ちゃんが村上くんの自殺を手伝ったっていうこと」

 里子ちゃんの頬を、涙が伝う。



 ……だって。
 だって。村上くんが。


 私だって。こんなに。


 好きなのに。


 
 里子ちゃんの、途切れ途切れの、言葉にならない言葉を。
 私達は一つずつ繋いだ。
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