ドライヴ〜密室の教習車〜
 3時間目の教習生の名前に注目する。


《篠敬太郎(しのけいたろう)》


 彼が、弥生の言っていた《28歳の探偵》だろう。



「和紗」

 私は声が聞こえた方向に、顔を向ける。
 隣に立った文乃が、私の持っている配車表を覗き込んだ。

「その篠さんって、すごいかっこいいんでしょ?」

「えっ、んなの? つーか、文ちゃん、何で知ってんの」

「昨日、弥生から聞いたんだ。おもしろそうだから、和紗とくっつけるって言ってたよ」

 それか。

 弥生のあのイヤラシイ笑顔の理由は。
< 11 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop