ドライヴ〜密室の教習車〜
 なんとなく想定内だっただけに余計いただけない。

「あの女。私で遊びやがって」

 私は、苛立ちを拳に込め、そしてそれを握り締めた。

「良い人だといいね、篠さん」

 文乃の笑顔を見ると、自分の荒立っていた感情が少し穏やかになった気がした。
 こういうのを、癒し系、っていうんだろうな。

「でも28歳で普通免許ってのがちょっと怪しくない?」
 私が言うと、文乃は笑った。

 うーん。
 女の私から見てもカワイイ。



「……和紗、聞いて」
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