ドライヴ〜密室の教習車〜
 私はお決まりの挨拶をしながら、助手席に座っている男を凝視した。

 どちらかといえば長めの黒色の髪。
 奥二重で形の良い整った目。

 あっさりとしていて、全体的に爽やかな顔立ち、ではある。

 カッコイイか、そうじゃないか、と聞かれれば、まあカッコイイ方だろうか。



「どうも。はじめまして」

 男が、軽く会釈する。

「篠です。よろしくお願いします」



 なんだ。

 私のタイプではなかった。

 でも、これがモロ好みだったりなんかしたら、もはや教習どころではなくなってしまうかもしれない。

 私は、ほっとしたような、ちょっとガッカリしたような。

 複雑な乙女心を抱えていた。
< 18 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop