ドライヴ〜密室の教習車〜
   〈4〉

「んじゃ、篠さん。交代しますね。降りたら車の周りを一周して、発進してもいいか確認してください」

「何を確認するんですか」

「ん。猫とかいないか」

 篠さんは、言われたとおりに車の下や周りを丁寧に確認して、運転席に乗り込んだ。
 忠実だな。

 そして、座席の位置やミラーを直す篠さんの様子に、驚愕した。



 たっ、たどたどしい!!

 おかしい。
 もしかして……丸免じゃないのか?

 私の表情は、自然と曇る。

「そ、それじゃあ。まず前回のおさらいもかねて、ここで発進の練習をしてみますか」

「はい。がんばります」

 がんばるんだ……。
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